効率の悪いルーチンワークは麻薬だ。
脳を使わずに淡々と仕事ができ、
しかもあっという間に時間も過ぎる。
脳は疲れていないが身体が疲れてくるので、
かかった時間と、できあがった仕事量を見るとやった気になる。
「あ~今日も一日よく仕事したなあ」
と、達成感で胸いっぱいにする。
そういう作業は、
真剣に解決策を考えれば、
いつも丸1日かかっていた作業が、
たったの1時間で終わらせる方法が見つかったりもする。
しかしその解決策を欲しがらない人も多い。
忙しい忙しいと言いながら、
それを改善する方法を取らず、
あえて無駄な作業をして、
その忙しさを堪能している。
それは例えば、多くの荷物を運ぶのに、
あえて台車を使わずに一つ一つ持ち運んでいるかのよう。
時間と労力は数倍かかるが、
額に汗して(ムダな)時間を費やしたことで、
本人は心地よいまでの達成感を感じることが出来るのだろう。
確かに、脳みそを使うという作業は非常にしんどい。
ちなみに、脳を使わないルーチンワークをしていると、
脳は、使わない部分の血流量を減らす。
血流量を減らされた部位は、どんどん能力を失っていく。
実際、毎日ルーチンワークばかりしていた30代の男性が、
若年性痴呆症になった例もあるほど。
そう。
身体に汗をかくより、
脳に汗をかく方が何倍もエネルギーを使う。
しかし、ルーチンワークを解決したがらない理由はそれだけではない。
それは上にも書いたように、
脳を使わない単純作業で、
簡単に達成感を得ることが出来るからだ。
あと、経営者でない人間なら、
時間がかかるほうが終業までの時間を食い潰せて良い、
と思ってる人もいるだろう。
かつてコンピュータ会社で働いていた時、
全社員がそれぞれ毎日10分ぐらいかかる面倒な作業があったので、
使用していたエクセルにマクロを組んだ。
つまり、面倒な作業をボタンひとつで一瞬で出来るようにした。
見た目も使い勝手も従来と同じ。
計算間違いもなくなるしムダな時間もかからない。
もちろんそれを全員に配ったが、なかなかそれは浸透しなかった。
理由は幾つも推測できるが、上述の理由もあったのかもしれない。
ちなみに、
「残業=人件費の増大=会社の収益の減少」
だと分かっているサラリーマンはほとんどいない。
多くのサラリーマンにとっては、
「残業=残業代=給与の増加」
となる。
サラリーマン時代の先輩で、
「今月は財布がピンチだから残業しまくろう」
と言ってた人もいた。
(ちなみに、部長クラスになると少し変わって、
「残業=仕事熱心」となる。)
まあ、正直、雇われている立場であれば、
そう思ってしまう理由もわかる。
ただ、自営業や会社経営者の立場で、
ルーチンワークに達成感を感じている人がいるとしたら、
それは見なおした方がいいと思う。
いずれルーチンワークはAIに取って代わられる。
脳に汗をかく創造的な仕事は、今のAIには出来ない。
そこにエネルギーを注ぎ込まないと。