私の尊敬する人曰く、運には天運と地運がある。
「禍福は糾える縄の如し(幸運と不運は交互に来る)」と言うが、
実際には、幸運と不運が交互に訪れることはない。
幸運が長く続いた後、今度は不運が長く続く、などのことのほうが多い。
例えば、赤と白のビーズを1万個ずつ用意して、
ビンの中に入れて振り回せば、
ビーズはきれいに交互に混ざり合ってピンクになるかというと、
そうではない。
どれだけ振ったとしても、モザイク模様のように赤のカタマリと白のカタマリが偏在している。
サイコロも100万回振れば、それぞれの出目の確率は1/6に限りなく近くなっていく。
しかし、その記録を詳細に見てみると、20回連続で1が出なかったり、
逆に5回連続で1が出ているということもある。
このように、幸運と不運は交互ではなく、それぞれカタマリになってやってくるものだ。
(よく言われる「流れ」というものがそれだと思っている)
幸運が来たときは、しばらく続くと考えてイケイケでやるのが良いし、
不運が来たときは、こちらもしばらく続くと考えて、派手な行動を起こさず被害が最小限になるようにしたりするのが良い。
このように、人間の手に及ばない運を「天運」、
それに対して人間の努力でどうにかなるものを「地運」だと考えている。
例えば、地震が起きるかどうかは天運だ。
だが、地震に対する訓練をしていたことで命が助かったなら、それは努力によって引き寄せた地運だ。
天運が良いときは誰でも上手く行くが、天運が悪いときこそ本当の実力がわかる。
また、天運に恵まれたとしても、準備不足のときはうまくいかないときもある。
天運がいつ来ても良いように準備しておく必要がある。
株式投資に例えると、
自分が選んだ銘柄の株価がどう動くかは天運だ。
上がるかもしれないし下がるかもしれない。
しかし、どちらの場合にも、
「こうなったらこうしよう」
と想定して対処策を考えておくことで、幸運を逃さず捉えることが出来るし、
最悪の事態が起きたとしても、被害を最小限に抑えることが出来る可能性が高くなる。