「この銘柄、含み損だけど、そのうち戻るはず・・・」
そんなふうに考えて、ズルズルと株を持ち続けたことはありませんか?
「短中期投資では損切りが大事!」と分かっていても、いざ実行しようとすると、なかなか決断できないものです。
しかし、それはあなたの意志が弱いからではありません。
実は、人間の脳はもともと損失を避けようとする仕組みになっているのです。
1. プロスペクト理論:損をしたくない本能
心理学の世界では「プロスペクト理論」という概念があります。
これは、人は利益を得る喜びよりも、損をする痛みを強く感じるという心理傾向のこと。
例えば、次のような2つの選択肢があったとします。
- 利益が出るケース
A. 確実に10万円をもらえる
B. 50%の確率で20万円をもらえるが、50%の確率で0円
多くの人が「A. 確実に10万円」を選びます。
しかし、損失の場面になると選択が変わります。
- 損失が出るケース
A. 確実に10万円を失う
B. 50%の確率で20万円を失うが、50%の確率で0円
多くの人が「B. 50%の確率で0円になるほうに賭ける」ことを選びます。
2. サンクコスト効果:損切りを先延ばしにするもう一つの理由
もう一つ、投資家が陥りやすい心理に「サンクコスト効果」があります。
これは、既に投じたお金や時間を無駄にしたくないという心理です。
例えば、
- 映画を見始めたけど、つまらない。それでも「お金を払ったから」と思って最後まで見てしまう。
- ラーメン屋で行列に並んだけど、なかなか進まない。それでも「ここまで並んだから」と思って待ち続ける。
これと同じことが投資でも起こります。
損切りを習慣化する工夫
損切りは投資において非常に重要なスキルです。
とはいえ、自分の意志で「◯万円の損失を確定する!」と決断するのは勇気がいるものです。
そこで、損切りを習慣化するための工夫をご紹介します。
- 損切りラインを明確に決める
最初に「◯%下がったら損切り」とルールを決め、機械的に実行する。(例:「購入価格の5%下がったら売却する」など) - アラートを設定する
価格が一定の水準まで下がったら、自動で通知が来るようにする。
そして、最も大事なことは、慣れない最初のうちは「損切りした銘柄のその後を見ない」こと!
損切りした翌日に株価が上がっているのを見ると、「しなければ良かった!」と後悔し、次回以降の損切りの心理的妨げになることがあります。
まとめ
このように、損切りができないのは意志が弱いせいではなく、脳の仕組みのせいです。
「損切りはミスではなく必要なもの」と割り切り、淡々と実行する習慣をつけていきましょう!