個別銘柄の投資で、本当に大切なこと。
投資で最も大事なのは、何があっても生き残ることです。
つまり、資産を守ることです。
相場が良いときは、多少やり方が粗くても資産は増えていきます。
しかし、本当に実力と準備の差が出るのは、
数年にわたるような大暴落に直面したときです。
投資を始めた人は、おそらく一生続けることになるでしょう。
だから、いずれ必ず、大きな暴落を経験します。
10年、20年に一度は、
市場全体が何年も沈み続ける大暴落が訪れるからです。
いま投資をしている多くの人はそれに遭遇していません。
おそらくは、いま株式投資を教えている講師の人でさえ、
そういう人が多いでしょう。
そのため、暴落時にも平然と、
「こういうときは、ひたすら我慢です」
「今こそバーゲンセールです。買い増しのチャンスです」
といったことを語ってきます。
もちろん、短期間で戻る暴落なら、
それでうまくいくこともあります。
問題は、暴落が起きたとき、
それが短期間で戻る暴落なのか、
数年間に及ぶ大暴落なのか、
最初の段階ではほとんど見分けがつかないことです。
暴落が長引きそうな兆候を見せたとき、自分がどう行動するのか。
それは、相場が平穏なうちに決めておかなければなりません。
実際に暴落が始まってから考えると、
多くの場合は行動が遅れます。
「どうしよう・・どうしよう・・」
と感情に任せて動揺し、
そしてついに「損切しよう」などと決断したときが、
その銘柄の下落のピークだったりします。
これは必然的なことです。
なぜなら、人間の我慢の限界値はだいたい同じだからです。
だから、自分の我慢の限界のピークは、
他の人にとってもそうなのです。
だからこそ、感情で判断すると、
他の人と同じタイミングで振り回されやすくなります。
さて、大暴落への備えは、大地震への備えとよく似ています。
地震は、起きてから避難の方法を考えるものではありません。
あらかじめ「こうなったら、こう動く」と決め、
何度も頭の中でシミュレーションしておくからこそ、
本番で命を守れます。
投資も同じです。
大暴落が起きてほしくはありません。
ですが、いずれ起こる可能性は極めて高いです。
だから、起きたときにどうするかを、
平時のうちに決めておく必要があります。
積立でインデックス投資をしている人は、
基本的にはそのままの方針を続ければよいでしょう。
ですが、個別銘柄に投資している人にとっては話が別です。
大暴落への対抗策が、
「待つ」
「(戻るのを)祈る」
「買い増しする」
この3つしかないのであれば、
それは戦略ではありません。楽観的な願望です。
実際、リーマンショックのときにも、
それ以前は本を何冊も出して人気を集めていた人たちが、
大暴落の後は一斉に姿を消しました。
しかし、これを読んでいる人の中には、
「投資の神様であるウォーレン・バフェット氏も
『暴落の時こそ株を買うチャンス』だと言ってるじゃないか!」
そう反論したくなるかも知れません。
しかし、あれは、
「暴落の時にはそこまで下がる理由のない優良銘柄までつられて暴落する。
だからその株を買いましょう」
という意味です。
そして、彼にはそれを見抜く方法があります。
彼は業績を見るだけではなく、
実際に気になった企業に直接出向いて、
最高責任者に直接話を聞いたりする事もできます。
また、優れたブレーンを何十人も雇っています。
そして、バフェット氏は、
「(個別銘柄に投資するなら)その銘柄について数十枚のレポートを
書けるぐらい詳しくならなければならない」
という趣旨のことも語っています。
しかし、多くの個人投資家に出来ることは、
四季報や決算資料を読むところまでです。
自分が投資している銘柄の本当の価値をわかる手段はありません。
だからこそ、個別銘柄の投資で最も大切なのは、
うまく勝つこと以上に、どんな相場でも退場しないことです。
ただし例外はあります。
そういう、何十年に一度の大暴落時にも、平気な顔で買い増しをし、
そして、資産が減っていくことに何の痛痒もなく、
その暴落が終わるまで何年も待ち続けることが出来る人がいます。
こういう人は、
「他にお金が入ってくるあてがあって、
投資資産が減少しても全く精神的なダメージがない」
という人です。
私の知る限り、かつてのリーマンショックの時の場合に、
そういうことを出来た人は、
「旦那さんが実業家で、奥様が趣味で投資をされている」
とか、
「別に事業をしており、投資は無くなっても良いと思えるレベルの金額で行っている」
というパターンでした。
なお、こういう人たちの投資理論は、一般の投資家には役に立ちません。
なぜなら、この人たちは本気で、
「このお金が無くなっても別にいいや」
というゲーム感覚で投資をしているからです。
大暴落は、いつか必ずやってきます。
そのときに自分を守れるのは、楽観論でも根性論でもありません。
事前に決めたルールと、冷静に行動できる準備です。
投資で最も大事なのは、生き残ることです。
資産を守り、次のチャンスまで市場に残り続けることです。
それが、個別銘柄の投資において最優先で考えるべきことだと思います。