「宝くじに当たったらどうする?」
の答えで一番多いのは、
「住宅ローンを返済する」
らしい。
しかし、これはかつて通用した常識。
今の時代、住宅ローンの繰り上げ返済はしないほうが良い。
1989年にバブルが崩壊するまでは、
住宅ローンの金利は高かった。
一番高いときで8.9%。
仮に、3000万円を金利8%で35年借りると、
総額で約9000万円返すことになる。
利子だけで約6000万円。
もしこういう状況のときに、
ふいに1000万円ぐらい入ったら、
それを繰り上げ返済することで、
単純計算で返済額が3000万円ぐらい減る。
この場合、繰り上げ返済することは大きな利益のあることだった。
しかし2019年現在、住宅ローンの金利は1%未満。
仮に、3000万円を金利1%で35年借りても、
総額で3556万円。
利子だけで556万円ぐらい。
1000万円を繰り上げ返済したとしても、
単純計算で1180万円ぐらいしか減らない。
この場合、利子が減るメリットよりも、
手元から1000万円という現金がなくなってしまうことのリスクのほうが大きい。
1%以下という低金利でお金を借りられるのは住宅ローンしかない。
しかも、35年という長期で貸してくれる。
例えば、
「子どもが病気になったからお金貸してください」
と言っても銀行は低金利で貸してくれない。
他にも、
天災により家を修理する必要が出てきた。
子どもの海外留学でお金がかかる。
何かの治療で大金が必要になった。
そんな場合を考えてみよう。
手元に現金がなかったら、銀行などから借りることになる。
住宅ローンなら1%という超低金利で借りることができるが、
フリーローンだと4~13%ほどの利子がかかる。
そうなったら、
「あのときの1000万円を置いていれば・・」
と、必ず思うことになる。
繰り上げ返済せずに1000万円を手元においておけば、
それは何にでも使えるお金になる。
何かあったときに使えるお金が手元にある、
という安心感はかなり大きいものだ。
投資に長けた人なら1000万円を投資に回しても良い。
1000万円を年率3%で増やすことが出来れば、
35年で2800万円にもなる。
つまり、借金を早く返すほうが良いというのは、
金利が異常に高かった時代の話。
安い金利ならば、返さずに手元においておいたり、
投資に回したりするほうがよっぽどお得なのだ。
また、家を買うときには団体信用生命保険に入らさせられる。
嫌な例えかもしれないが、
世帯主が亡くなった場合、
残ったローンは帳消しになる。
もしその時、手元の現金をどんどん繰り上げ返済に回していたら、
ローンは消えても現金も残っていない状況になる。
現金を手元に残しておけば、
ローンも消え、現金も手元に残っている。
急な不幸にも対応しやすい。
ということで、今の時代では、
ローンの繰り上げ返済はする理由が見つからない。
あと、
「借金は早く返さなければならない」
というのも間違った概念だけど、
これについてはまた後日。